「今日は、いい天気だわ」
イヴは小さく言った。
「どこがいい天気なんですか」
その隣でヘレンは眉をひそめる。
なにが面白いのか、イヴは笑った。
「ヘレンはいい天気だと思わないのね」
イヴはヘレンをじっと見つめた。
その瞳がギラリと光る。
「ええ、だって見てくださいよ
こんなにどんよりとしているんですもの」
ヘレンは空を見上げる。
空には光がなく、きれいな青も見えない。
灰色の雲が敷き詰められていた。
「雲はお嫌いなのね」
イヴは眉をあげて、挑発する様にヘレンに尋ねた。
ヘレンは首を振った。
「いいえ、雲は好きですよ」
ヘレンは抱えていたタブレッドのパスワードを瞬く間に入力した。
イヴが次に目を開いたときには、画面に虹色の雲が映っていた。
「私が幼少期に見たんですよ、きれいでしょう」
ヘレンは虹色の雲を画面越しに撫でた。
その姿をイヴは観察する。
「なにか思い出がある様子ね」
イヴの目はタブレットに向いておらず、しっかりとヘレンを捉えていた。
その視線にヘレンはハッとしたように顔をあげる。
「・・・いえ、なにもありません」
少しの間をあけてヘレンは言った。
しかし、イヴは見逃さなかった。
ヘレンの瞳が、一瞬動揺の色を表したことを。
「ヘレン」
イヴはそっとヘレンの手をとった。
しかしそれは、ヘレンに振り払われてしまう。
「触らないでください、私の過去を聞いても面白くないですよ」
ヘレンはキッとイヴを睨む。
しかしイヴは怯まなかった。
「あなたね、自分の立場をわかっているの」
イヴはドレスを靡かせた。
「その態度が誰かに見つかったらあなたは…」
「わかっております」
ヘレンは、イヴの言葉を遮る。
「申し訳ありません、イヴ様」
面倒くさそうにヘレンは頭を下げる。
丁度、階段から中級執事二名の声が聞こえてくる。
「では失礼します」
ヘレンは重い扉を閉めた。
その扉の奥には、ひどく美しい姫様が立ち尽くしている。
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イヴ→姫様
自分を好いている者を嫌う
「過去」を変える異能を持つ
ヘレン→上級執事
姫様を好いていない
宮殿から抜け出したい
※上級執事→姫様の一番近くにいる存在(姫様直々の指名)
中級執事→3年以上、宮殿で働いている者
下級執事→姫様の実験に使われるor雑用係
なんということだ!まだ寝てない仲間がいるぞ!お話ししようぜ!!