夜な夜な、人が通らぬ山道を歩く少年がいた。
名を「カイ」という、16歳の少年。
右の瞳にだけ、金の光が宿っている。
それは【魂を見る目】と呼ばれる異能だった。
彼はこの目で、現世に囚われた魂ー地縛霊を見、聴き、助けることができた。
カイには目標がある。。
それは「灯のかけら」を探し、集めること。
それを集めれば、自分が何を失ったのかを思い出せる。
記憶のない彼は、自らの過去を知るために、地縛霊の声を聴き、成仏させていた。
その、灯のかけらを持っている霊を見つけたカイ。
それは、山の山頂に、満月に照らされた、一軒の家だった。
そこで会ったのは、干からびた老婆の霊。
彼女は、何十年も、息子を待っているという。
老婆の息子は、若くして事故死していた。
しかし、その老婆は、死を受け入れられず、自ら命を絶った。
その恨みが、地縛の鎖になっていたのだ。
カイは、老婆を責めなかった。
静かに、老婆の息子の生前の言葉を読み上げる。
息子が残した日記だった。
「母さんに、ちゃんとありがとうっていいたかったな。
…でも母さんは、僕がいなくても笑って生きてくれるって信じてる」
その言葉に、老婆は涙を流し、笑顔のまま霧となって消えた。
地面には、金色に光るかけらが残っていた。
灯のかけらを拾い上げた時、カイの瞳が輝きを放った。
すると、彼の記憶が蘇ってきた。
ーかつて、自分も地縛霊だったのだ。
家族を、仲間を、すべてを火災で失い、ただ一人で生き残ったカイ。
絶望に陥っていた。
その時、【魂を癒す灯】を集める使命を与えられ、この世に戻された。
カイは思い出した。
「俺が探していたアルモノ。それは、自分を癒す心だったんだ」
地縛霊を救いながら、自分も救われていた旅。
それこそが、彼に課された償いであり、救いの道だったのだ。
カイは今日も、金色の瞳で魂を見る。
泣き声がする場所へ。怒りがこもる場所へ。後悔に満ちた場所へ。
人の想いがある限り、彼の旅は続く。
なぜなら、誰もが「灯のかけら」を持っているから。
それは、生きる希望であり、癒やされたい心である。
カイは静かに微笑んだ。
「さあ、行こう。今日も誰かの。光の方へー。」ー完ー
カイが探していたもの→他人を癒す心と自分を癒す心
※先にこっちを書きました。変なとこあったらごめんなさい(汗)
うまいうまいうまいうまいうまい
すごくいい
採用ありがとうございます!!!
気に入っていただければ光栄です…!