ショート小説「特殊能力刑事　冴島鷹子の事件簿」

ある日突然、私の所に一通の手紙が届く。手紙の内容は、こうだった。『初めまして、冴島鷹子警部補様。私は小学５年生の女の子です。私は驚異の検挙率の冴島様に憧れています。だから是非、私の悲痛の悩みを聞いて下さい。私は親に「前田」と言うキラネームを付けられました。理由は親が「前田敦子」のファンだったからです。私が「前田」になったのは母の名前が「敦子」だったので、かぶりを嫌い、私が「前田」になったそうです。だから、私の名前が「伊藤前田」になりました。今まで、このキラネームでの理由で、いじめられた事は有りませんが、いちいち説明するのが面倒くさかったです。でも、私は「伊藤前田」がとても気にいっていたのですが、つい最近に親の離婚で苗字が変わってしまったのです。その苗字は「前田」でした。冴島様。実は私は推理は得意なのですが、その反面、とても不器用なのです。あやとりも出来ないし、ましてや手品なんて、とてもとても無理です。もうすぐ、夏休みが終わり、学校に行きます。私は学校の友達に出来もしないマジックを要求され、語尾にニャーを入れなければ行けないのでしょうか？是非、良いアドバイスをお願いします。』ここで、手紙の内容が切れていた。私は速達で返事の手紙を出した。『前田前田さん。貴方の悲痛の悩みを受けとりました。私の力限りのアドバイスをさせて頂きます。今、語尾にニャーは死語なので使用しなくてオッケーです。手品の件ですが、「耳が爆発しちゃた」なら、手が不器用でも行けると思います。ネバギブの精神で頑張って下さい。貴方なら出来る。がんばれ。冴島は貴方を心から応援してます。』と。しかし冴島鷹子は、この手紙の内容に重大なミスを犯してしまった事に、まったく、気づいていなかったのだ。
『神童と呼ばれた少女』「心の叫び」より