奴隷願望という不思議

俺はずっと奴隷野郎に対して強烈な違和感を持っていた。俺が前話した、宗教の奴隷さ。奴の被害妄想と、認知の歪みと、感情の暴走を考えたら当たり前だ。でも、それだけではどうしても説明できない違和感だった。まるで何か見落としてるような、な。やっと謎が解けたさ。俺が違和感を感じていたのは、当然だった。

奴は奴隷根性だけでなく、奴隷願望の持ち主だった。それも、奴隷願望が強い奴だったんだ。俺にとって、奴の奴隷願望は、今まで出くわした事のない思想だった。当たり前だ。俺はこれでも啓蒙主義の申し子さ。民主主義社会に生きる一員だ。人は皆自由になりたい、と考えていた。そして、奴隷から解放を願う奴はいても、自ら奴隷として隷属されたいと考える奴はいないだろうと思っていた。だがところが、いやがった。それが奴隷野郎だよ。

俺の今までの価値観が崩壊する事は無いが、理屈では説明がつかないと感じたな。なんで自分自ら奴隷になりたがる奴がいるんだと。それも強烈に奴隷になりたいって思う奴がな。自分の肉体的自由と精神的自由を完全に手放し、暴君に全てを支配されたいと願って止まない奴な。奴はただの奴隷じゃ無い。未だかつてない、全体主義に自分の心身を捧げる奴隷なんだよ。スターリンやヒトラーや毛沢東以上に凄まじい独裁と暴政さ。唯一神という名の独裁者によってな。つまり、骨の髄まで奴隷根性と奴隷願望が滲み割ったっているんだよ。

俺がどうしても説明に詰まったのが、奴が未だに原理主義を引き摺りやがっている事さ。俺は色々な人間と会ったことがあるが、元原理主義者でももう奴隷じゃない、自分を解放した奴もいるんだぜ。でもこいつは、二十四年間浪費し、未だに骨の髄まで奴隷のままだった。

俺はこいつに最初こういってやりたかった。「てめえ、頭大丈夫か。被害妄想言うならどっか他の場所に行けよ。俺に迷惑をかけるんじゃねえ。」

こいつは結局、被害妄想の言いがかりをつけてきた挙句、支離滅裂な事を言いまくって、一方的に決裂しやがった。意味不明だったぜ。まじでこいつの頭の中どうなってるんだって思ったな。まるで吠えまくる狂犬みたいだったな。正気を失った獣と何が違うんだって感じだった。

でも奴が奴隷願望の強い奴隷野郎だってわかって、全部腑に落ちたさ。奴隷願望がある人間は、望んで惨めな思いをしたい、いわば被虐主義者だ。それで、文明的価値観とは相容れない。奴等は自分が奴隷であるときしか、存在意義を見出せない。だから、自由人とは永遠に平行線だ。

奴と俺や他人の間には、例えてみれば強大な分離壁があるのさ。お互い、塀の向こうを見ることができない。だから、憶測や勉強した付け焼き刃の知識をもとに推測する。でも、それは実際の現象には基づかないので、不正確なんだ。

こいつは、「俺には理解出来ない」って言いやがった。その時は軽蔑の言葉に聞こえ、何様だ、この野郎ってムカついたが、今ならわかる。あいつはどこまで行っても、どんなに装っても、奴隷願望と奴隷根性の強い奴隷野郎だ。立体的には同じ世界にいても、俺や他の人みたいな自由人とは、考え方や頭の中が根本的に違う。お互い見えない世界があるのさ。だから、はっきり言って両方の人間が理解し合うなんて無理なんだよ。俺はあいつの奴隷願望なんて心底理解できない。それはそうだ。俺は今まで、奴隷になりたくてしょうがないなんて人間を知らなかったからな。そして奴は、奴隷の価値観しかないから、他の人間に比べたら押し潰されそうな疎外感を持ってるんだよ。

でもそれは自業自得なんだよ。あいつの強烈な奴隷根性と奴隷願望が、奴を束縛してるんだよ。その二つを解消しないと、あいつは奴隷状態を逃れられない。でもそんな日は絶対来ない。奴は根っこからの奴隷だからな。

俺は奴が許せねえ。何故なら奴の奴隷願望は、俺を含めて、自由を手にしようと努力してきた人間に対する、最大限の侮辱だからだ。ましてや、奴は奴隷の価値観により俺に被害妄想を押し付け、俺に誹謗中傷を浴びせ、俺の尊厳を傷つけた。それだけでも許し難い行為だ。奴が更に卑劣な奴隷野郎だと思った瞬間は、説明責任を含む、一切の責任を放棄し、勝手に逃げようとした事だ。これを受けた時、正真正銘のクズ野郎だと思った。更に、こいつは、文明人なら保持する信頼関係を、なんとも思ってなかった。最初から奴隷野郎に信頼なんてなかったんだよ。まあ、俺も浅はかだった。奴隷野郎は、一人の完全な人格じゃない。一方で、信頼は、二人の人間が信じ合うことによって起こる。奴隷野郎は当然、責任も誠実さも持ち合わせてない。奴にあるものは、奴隷願望、奴隷根性、そして恐怖による支配だけだ。奴隷状態っていうのは非常に硬直した状態でな。移民は別の場所に行けば適応する。でも奴隷は死ぬまで奴隷だ。特にこいつみたいな骨の髄まで奴隷の奴はな。

俺が奴に持ってた期待は何だったんだ。俺も奴隷野郎を信用していた時があった。奴は自由人の皮をかぶっていた。時折、奴隷状態が見え隠れしたが。俺は鈍かった。その時にこのゴミ野郎が奴隷だとわかっていれば、痛手を負わずに済んだ。このクズ野郎のせいで心をズタズタにされずに済んだんだ。でも俺は奴隷野郎を信じてしまった。そして恩を仇で返されたのさ。許せないって思ってももう遅い。奴隷野郎は、良心の呵責なんてない。人を騙してもなんとも思わないんだ。とてつもなく卑しい生き物だぜ。嘘つきで、偽善で、倫理も道徳もあったもんじゃねえ。間違いなく俺が人生で会った中で最低の人間の一人だ。

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