こんにちは!これから、週一くらいのペースで怖い話を
投稿していきたいと思います!それでは、またまた長いですが、
一話どうぞ!
≪階段or怪談?≫
コツ…コツ…コツ…
美織は階段をゆっくりと降りていた。
(もう、めんどくさいなぁ。先生ったらこんなにたくさんノート持たせて…こっちは足痛いってのに)
美織は体育で足を痛めているのに、先生がそんなことはつゆ知らず、
「ノートを職員室に持っていってくれ。」
と言ったのだ。
美織は派手な格好をしていてギャルっぽいものの、心優しい性格をしている。
そのせいで今日もノートを職員室にもっていく羽目になったのだ。
美織のクラス、3年2組は4階にある。だから毎回毎回、1階から4階を往復する羽目になるのだ。
「あっ!」
美織の体はふわりと中に浮いた。階段から落ちてしまったのだ。
「いっつぅ~っ」
ゆっくりと美織は立ち上がった。 そして、その光景に目を疑った。
「え…」
空は紫色。その空には、ふわふわと水色の人魂が飛んでいた。
「なに…ここ。そういえば…」
と、美織はあるうわさを思い出した。
清川中学校の怖い話
4時44分に4階の4段目の階段で転ぶと異界に連れていかれる。
そこから出るには、学校のどこかにある井戸に飛び込まなければならない。
その異界は美しいが、そこには、恐ろしい魔物がうろついているという。
その魔物につかまると、その人間もまた、魔物と化す。
その魔物は、●●●●が好物で、それを渡し、魔物が夢中になっている隙に逃げられる。
と…
しかし、美織はその●●●●の部分がどうしても思い出せなかった。
「なんだっけ…思い出せないなぁ」
ズルッ…ズルッ…ズルッ…ズルッ…ズルッ…ウゥ~~~…
不意に何かを引きずるような音が聞こえてきた
それと同時に唸り声も聞こえてきた。
美織はハッとし、直感的に「魔物だ」と思い、慌ててその場から逃げ出した。
どうにかその魔物は撒くことはできたが、校内にはまだたくさんの魔物がうろついているのだろう。そう思うと美織は怖くて震えた。どうやら異界のつくりは現世と同じようだ。
そこで、魔物に関する資料があるかもしれないと思い、図書館に隠れることにした。
図書館には魔物はおらず、美織は少し安心した。
図書館を見て回ると以外にも早く目当ての「清川中学校の怖い話」という本が見つかった。
「【4時44分の異界】
4時44分に4階の4段目の階段で転ぶと異界に連れていかれる。
そこから出るには、学校のどこかにある井戸に飛び込まなければならない。
その異界は美しいが、そこには、恐ろしい魔物がうろついているという。
その魔物につかまると、その人間もまた、魔物と化す。
その魔物は、紙が好物で、それを渡し、魔物が夢中になっている隙に逃げられる。」
「そうだ!紙だ!」
美織は思わず大声を上げた。ハッとして周りを見渡したが幸いにも魔物はいなかった。
ホッとしながらも、美織は図書館にあった紙をいくらか貰うと、図書館を出た。
が、すぐにあの音が聞こえた
ズル…ピタッ
音が消えた。どこかに行ったのだろう。
そう思い振り返ると、
「ッ―」
魔物がいた。魔物が美織のすぐそばまで来たために音が止まったのだ。
魔物は顔がドロドロに溶けた人間のような顔をしていた。
「ぁ…」
あれから1年が経った。
魔物にされた美織は、人間を見ると体が勝手にそのほうに動き、人間を襲うようになっていた。
あの時、足がもつれなければ。
あの時、先生がノートを頼んでこなければ。
あの日の体育の時間、足を痛めていなければ。
