俺は東南アジアに住んでいる欧米人の餓鬼どもを見てきてるんだけどよ、まるで奴らは黄金の鳥籠に入れられてるみたいだよな。
国際学校に通って、習い事に送迎してもらって、どこに行くにも親か大人が付きっきり。それに、服装は、女らしく、男らしくって求められるし。それに驚いたのが、大人の集まりでは子供は無理やり連れて行かれても、大人の命令に従うか、沈黙しているかのどっちかなんだよな。
東南アジアに住んでいるくせに、現地語は全くできないし、現地の音楽、アニメ、映画も知らない。見るものって言ったら、英語圏のコンテンツだけ。現地の文化に触れ合うのは、飯を食いに食堂に行く時ぐらいだろうな。
現地語を話す現地人の友人はいないみたいだな。大体国際学校の中で交友関係が完結する。それに大人も、欧米人の駐在員ぐらいだ。会うのは。現地の大人とはほぼ会わない。それに、友人と遊ぶのも、親の承知が必要みたいだな。
でも、俺が驚いたのは、こいつら、有無を言わさず、親に教会に行かせられる事だよ。子供の頃からだから違和感を感じないのか。俺からしたら欧米人って自我が強いはずなのによく耐えられるなって思う。日曜は教会で半日潰れるみたいだ。
まあでも、あんまり勉強してないみたいで、羨ましいって思ったな。算数数学はからっきしダメで、英語も、小学生の本を中学生でも読んでる。随分ゆっくりなんだなって思った。絵を自慢してたが、大して上手くなかった。自己肯定感が高い割に、能力は低いんだよな。
まあでも、俺みたいな貧乏育ちで、躾をあんま受けなかった人間からしたら、こいつら礼節とかはしっかりしてるって思ったな。挨拶とか御礼がしっかり言えるし、ふて腐った態度を取らない。
それにしても、こいつら見ると、反抗期がないのかって思ったけどな。親に口答えとかしないみたいだった。親が理不尽な要求をしても。それに、門限とか就寝時間とかが厳しく管理されてて、勉強はしない代わりに窮屈そうだったな。
それに、表現の自由は実はないんだ。発言一つ一つに気をつけなきゃいけない。あまり際どいことは言えない。それに親の宗教とか思想を批判する事もできない。思想の自由や思考の自由もない。国際学校と駐在員社会でどう見られるかが最重要だからだ。それでこれらは、金持ってる村社会なんだよな。
日本人の海外邦人以上に排他的だよ。異文化出身者はいつまでも一部とは認められない。一時的なゲストだとしてもな。それに唯物的価値観は嫌われる。それと家族で一緒っていうことにやたら執着するんだよな。まあこれも金持ってるから成せる技なんだろうな。
まあこいつらの家庭環境がどうなってるのかは知らないがな。欧米人は外面がいい仮面夫婦が多いからな。俺が喧嘩したオッサンも、幼少期の洗脳のせいで脳の構造が変わって、そのせいで溜め込んで爆発したり、感情のコントロールがひどく苦手だった。怒り出すと制御ができない。馬鹿の一つ覚えみたいに、根拠は見せないけど俺が正しいの繰り返しだ。結局最後はまともな説明もなしに一方的に関係を切るし、何をしたかったのか全くわからなかった。
こいつは相当変な奴だったから、妻も相当疲弊しているだろうな。こいつと違って、楽観的で冷静に見えたが。子供には優しさの片鱗を見せていたが。子供が通っていた国際学校が合わなかったから、変えたんだってよ。それで今の方が幸せだって、かなりぎこちない言い方で言っていた。大体人って外では隠すもんだけど、こいつはあまりにも洗脳が酷かったんだろうな。教会でもぎこちなさがあった。特に話したりするとき、テンションが違ったり、一方的な話になる。俺を非難する割に、周りを読めない人だったな。まあこの碌でもないオッサンなんてどうでもいいが。俺はこいつの顔さえ見たくない。臆病者で卑怯者で偽善者だからだ。