『昨夜から振り始めた雨が、昼過ぎに病んだ時』(第一話)
蒸し暑い夏の深夜だったと思う。
もうすぐ、日を跨ごうとしていた時、姉が泥酔で帰宅して来た。
ほぼ、帰省本能だけで帰って来る姉には毎回呆れる私だった、が
今回だけは何か違う感じがした。それが、何かは分からない。しかし、物凄く嫌な予感がしたのは確かだった。前日に夢を見た。今、住んでいるボロアパートの台所で、白い着物を着た女性が、何かを切り刻んでいた。まな板の上を包丁で、何かを刻んでいたのだ。身知らない女性だった。姉でもなく母でもない、まったく身知らない女性だった。その女性に近づく私、声も掛けること事もなく近づく私。そして、まな板の上を覗く私。そのまな板には‥‥生のネズミが、みじん切りをされていた。「サクサク」と、「サクサク」と。夢の中の話しではあったが、時期的に『昨夜振り始めた雨が、昼過ぎに病んだ時』だったと思う。